スクール･ウォーズ HERO

1974年。校内暴力で荒廃しきった伏見第一工業高校に体育教師が赴任した。山上修治、31才。元ラグビー全日本のスター選手だ。現役引退後、有名実業団チーム監督の座が約束されていたが、敢えてここを選んだのだ。「この学校を、ラグビーを通じて変えて見せる」という決意を胸に山上は教壇に立った。しかし、彼が目にしたのは、リーゼントのツッパリがオートバイで廊下を走りぬけ、金属バットで窓ガラスを割る姿だった。学内でのタバコや麻雀は日常茶飯。中でもラグビー部は、ワルの巣窟となっていた。山上の熱い想いは受け入れられず、苛立ちは募るばかり。そんな彼に妻の悦子が、アドバイスをする。中学時代、グレかけていた山上は、無視されても、無視されても、生徒に声をかけ続けた恩師に心を打たれた経験があったのだ。やがてラグビー部にも変化の兆しが見え、初の対外試合も決まった。ところが試合の当日集合場所に来たのは道代だけだった。子供たちは、本気で叱ってくれる大人を、本気で愛してくれる教師を求めているのだ。そう信じる山上の姿勢は、みんなの気持ちも動かしていく。3年生たちは打ち解けぬまま、卒業を迎えてしまうが、卒業式後、荒れていた部室はピカピカに磨かれ、「あとは頼むぞ、全日本野郎!」と3年生からのメッセージがあった。1975年、春。京都一のワル“弥栄の信吾”が、伏見第一に入学。山上は彼をラグビー部に誘うが、素直になれない信吾。迎えた京都府大会、結果は112対0という前代未聞の惨敗。自らの高慢を恥じた。そして、山上とラグビー部がひとつになった。心機一転、猛特訓を開始するラグビー部。そこには、あの信吾の姿もあった。頭角を現す信吾を、身体が弱いためマネージャーになった望月は憧れの目で見つめる。「信吾くんは全日本のメンバーになれる。僕は新聞記者になって、君の記事を書くんだ」フーローと呼ばれる望月は、大きな夢を語った。1976年、府大会を勝ち進む。だがフーローは倒れてしまう。白血病だった。彼に生きる希望を与えるべく、必死に戦うラグビー部は、ついに決勝進出。相手は、あの大園だ。勝てば、全国大会に出られる。フーローが病室から応援する中、ホイッスルが鳴った。