『ミッドサマー』『ヘレディタリー/継承』を手掛け、クオリティの高い映画製作に定評のあるアメリカの配給会社「A24」とSFスリラー『エクス・マキナ』でアカデミー賞(R)視覚効果賞を受賞したアレックス・ガーランド監督が究極のタッグを組んだ映画『MEN同じ顔の男たち』。
11月29日(金)に秋葉原UDXシアターにて行われた試写会に、緊急来日したアレックス・ガーランド監督が舞台挨拶に登壇した!まずは本編を見終えたばかりの観客に向けて「本日はご来場いただき誠にありがとうございます!非常に変な、奇妙な体験だったかと思いますが、耐え忍んでいただき誠にありがとうございます(笑)」と冗談交じりに挨拶し、会場の笑いを誘った。
続いて映画『MEN 同じ顔の男たち』のトークへ。主人公が同じ顔の男と出会うという設定について本作には2つ問いをたてたと説明し、「答えを全部与えてくれるような消化しやすい映画には興味がなく、いつも問いを投げかけるつもりで映画作りをしており、観客の皆さんにその謎解きに参加してもらいたい、という気持ちで制作している」と告白。「主人公は同じ顔の男に気がついている素振りをしないが、男はみんな同じで、気がついていないのか。あるいは男はみんな同じではないが、主人公から見ると同じ様に見えるのか。似ているようで実は全く異なるように、どういうアングルから問いをたてるかで全く変わってくる」と解説した。
ジェシー・バックリー演じる主人公ハーパーのキャラクター作りに関して質問が及ぶと、映画制作時に監督は入念なリハーサルをするそうで「キャスティングする際に必ずリハーサル時間が確保できる役者さんでお願いし、契約書にも入れてもらっている」とこだわりを明かし、「2週間ほどリハーサルし毎日話し合いを重ねた。ジェシーは直感的に演じるタイプなので彼女に合わせることもあったし、役者とコラボレーションしたい!と思っているので、ジェシーが演出したことに僕が反応することもあった。」と撮影を振り返る。特に、主人公の怒りがこみ上げていく様について話し合い、「主人公の女性の叫びといったホラー映画の典型的な手法は避けたい!と、違う方向性を見出してくれた。」と感謝を述べた。
また観客の女性から本作に内包されるに有害な男性性といった難しいテーマに取り組むことに躊躇してしまうことはあったか?との問いに、監督自身が娘を持つ立場として娘に向けられる世の男性の歪んだ視線を感じた経験を打ち明けながら、「(一男性である監督自身が)撮影をしながらこみ上げてくる恥や罪悪感、嫌悪感や怒りといった強い感情が渦巻いており、制止できないほどにその強い感情があり、撮影が難しかった時もあった。でも作るしかない!と思った。」と心境を明かし、「自分自身に直視しようという試みのひとつであり、鏡をかざしているような気分で映画を作った。」と続けた。
12月9日(金)、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開