『さがす』片山慎三監督・釜山国際映画祭リモート会見&ヨン・サンホ監督との対談イベントオフィシャルレポート到着!

(C)2022『さがす』製作委員会
10月12日(火)

長編映画監督デビュー作『岬の兄妹』で各界からの激賞が相次ぎ、SKIPシティ国際Ⅾシネマ映画祭2018にて観客賞と優秀作品賞、北欧最大の国際映画祭・ヨーテボリ国際映画祭(2019)でイングマール・ベルイマン賞にノミネートされるなど、国内外から高い評価を受け、日本映画界、そして映画ファンに激震を与えた片山慎三監督の最新作『さがす』。

10月11日(月)に第26回釜山国際映画祭ニューカレンツ(コンペティション)部門でワールドプレミア上映され、片山慎三監督が都内からリモートQ&Aセッションに参加。上映終了後の会場とリモートでつなぎ、映画を見終えたばかりの現地一般客とのQ&Aセッションを実施。さらに片山監督と『新感染 ファイナル・エクスプレス』のヨン・サンホ監督による、日韓異才監督対談をリモートで実施した。

■第26回釜山国際映画祭ワールドプレミア リモートQ&A

上映終了後に、会場とリモートでつなぎ、韓国の観客に向けて「こんにちは、片山慎三です。お会いできてうれしいです。今日は劇場で映画を見ていただき、ありがとうございました。よろしくお願いします」と韓国語で自己紹介した片山監督。現地司会から韓国語の上手さを褒められて「今日練習しました!」と満面の笑み。朗らかな雰囲気でQ&Aセッションはスタートした。ストーリーの出発点を聞かれた片山監督は「電車の中で手配中の殺人犯を見た、という話を自分の父親が家族にしたことがありました。その時は誰も信じなかったけれど、数年後に逃亡犯が捕まった際に足取りを調べたら、父が見たという人物こそ、その犯人でした」と自身の実体験がアイデアの種であったことを告白。

佐藤二朗を父親役に起用した理由については、あてがきで脚本を執筆したことを明かし「ユーモラスなイメージのある佐藤さんが二面性のあるお父さんを演じたら怖いのではないか、と思った。佐藤さんが普段やっていないようなキャラクターだからこそ、意外性が出て怖さが強調されるはず」と狙いを明かした。

韓国の観客とのQ&Aセッションを終えた片山監督は「鋭い質問や映画を作っているときには考えなかったような質問があったりして、その時にもらった疑問や考えを次回作に活かそうとも思える。映画祭は僕ら新人監督にとって成長の場」と国際映画祭に出品する意味を説明し、その手ごたえを噛み締めた。
またすでに完成版を観たという佐藤の反応について「ディテールが面白くて、表情からも満足している様子がうかがい知れました」と嬉しそうに明かした。

■片山慎三監督×ヨン・サンホ監督対談■
さらにこの日は、映画祭公式イベントとは別に、韓国映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』で知られるヨン・サンホ監督とのスペシャルリモート対談も実施。
「さまよう刃」(21/WOWOW)で初めて片山監督作品に触れたというヨン監督は、一瞬でその才能に惚れ込み、片山監督のフェイスブックに友達申請したという。

既に本作を鑑賞したヨン監督は「ファーストカットから引き込まれ、最初のシーンやカットを見ただけで片山監督のビジョンが感じられる。俳優の演技も素晴らしく、カメラワークや演出など、片山監督のビジョンが映画全体を覆っている。それを実現するためにどんな秘訣があるのか是非とも知りたい」と興味津々。さらにヨン監督は「今日の対談も私から是非!とお願いしたから実現したものです。私は様々なスリラー映画を観てきましたが、『さがす』は私が大好きなスリラー映画のひとつになる。映画史には伝説的スリラー映画があるけれど、この『さがす』も伝説的作品の一つとして名前を挙げることになると思います。僕はもはや『さがす』マニア。ソフト化されたら早く買いたいです」と大絶賛だった。
ヨン監督の大ファンという片山監督は「率直な感想をいただけて嬉しいけれど、恐れ多くもあります。ヨン監督は雲の上の存在。僕なんて足元に及びません」と韓国映画界を代表する異才からの激賞に恐縮しきりだった。
またヨン監督は、第26回釜山国際映画祭での反応について「私の周りの知り合いの監督たちは『凄く面白い!』と口々に言っていますし、私も多くの映画人に見るようにと薦めています。また韓国でのSNSでも反応は凄まじく『これは反則だ!新人監督とは思えないくらい完成されている!』などと絶賛のコメントが目立ちます。片山監督には『素晴らしい上映ができている』ということをお伝えしたいです」と報告。これに片山監督は「世界的に評価の高い韓国映画を支える目の肥えた観客の皆さんに褒められるのは嬉しい」と喜びを噛みしめていた。
片山監督とヨン監督は同世代。日本映画界に期待することとして片山監督は「日本映画は画やストーリー、内容の力で面白い作品を作り、ヒットさせる意識が必要だと感じます。ヨン監督の作品のように誰が見ても共感し、楽しめて感情移入できるような作家性と商業性を両立させた作品が増えてほしい」と熱弁。
ヨン監督も「片山監督のような創作者に果敢な投資を行い、予算をつけていけば必ず素晴らしい作品ができるはず。お互いに切磋琢磨しながら、何か一緒にできるような環境を作っていければ嬉しい」とエールを送り、片山監督は「一緒に何かできたら嬉しい!」とコラボレーションに意欲的だった。

最後にヨン監督は「釜山国際映画祭のワールドプレミアで上映された『さがす』の韓国内の反応は熱く、片山慎三という名前を韓国の映画ファンが認識するきっかけにもなりました。この映画がより多くの観客に届けばと願っています」と熱くコメント。
片山監督も「いい反応を直接ヨン監督から聞けて、今晩グッスリと眠れそうです。ヨン監督とはまた別の機会にじっくりと親交を深めたいです」と感激しきりだった。
ワールドプレミア後の釜山国際映画祭会場から早速熱い感想も到着!!「監督・片山慎三の名前を記憶しなければならない。個人的な希望としては、今後の日本映画界を引っ張っていく監督に成長を遂げてほしい。想像以上に奥行の深いスリラーだった。」「ポン·ジュノ監督の『母なる証明』のようだと言う人がいるが、その言葉に共感。一場面も見逃せないので、歯を食いしばってトイレに行くのを我慢した。」「最高だ。本当に素晴らしい。最後まで没入して感情線を追っていったので疲れたが、とても強烈だった。序盤の撮影もかっこよく、物語の進み方もかなり興味深い。」「父親役の俳優・佐藤二朗を知っていたので映画に興味があり、普段コミカルなイメージの俳優として知られているが、本作品でのスリラー演技は印象的で驚いた。」など本作の魅力は海を越えて拡がっている。

2022年 テアトル新宿ほか全国公開

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作品紹介

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