2013年に刊行された作家・中條てい氏による原作を映画化する『アイミタガイ』。9月30日に都内で完成披露試写会が実施され、主演の黒木華、共演の中村蒼、藤間爽子、近藤華、白鳥玉季、そして草野翔吾監督が出席した。
親友同士の梓と叶海、2人の関係を軸に一期一会の連鎖が大きな輪になって、立ち止まっていた人々の心を灯す群像劇。主人公・秋村梓を演じた黒木は「1年以上前に撮った作品を皆さんにお届けすることが出来て凄く嬉しく思います」と満員御礼の会場に挨拶した。役柄については「皆さんに共感してもらえるような、すぐ傍にいるようなキャラクター。私も梓の気持ちがわかったし、人と人との繋がりを感じられるような役でした」と紹介した。
黒木は透き通った声で本作の主題歌を担当しているが、「いつ歌います!と言ったのか…。歌いますと言った記憶がなくて…外堀を埋められて、気付いたら歌うことに」と苦笑いで、藤間から「とても素敵なので歌がお得意なのかと思っていたので意外な反応です」と不思議がられると、黒木は「色々な機械を頼っているの!」と照れ隠しでジョークを放っていた。
梓の交際相手の澄人役の中村は「タイミングの悪い男だけれど、どこか愛される男。頼りないけれど、ここぞという肝心なところで彼の逞しさが出てくる。一人の人間として尊敬できると思った」と役柄を紹介。
梓の親友・叶海役の藤間は「カメラマンという役柄なので、撮影中は私も何気ない日常とか気に留めなかったことをカメラで撮ってみようと思いながら過ごしていました。意識するだけで普段自分が気に留めなかったものが目についたり、気づかされたりして、役を通して寄り添う気持ちの大切さを学びました」と影響を口にしていた。
中学生時代の梓を演じた近藤は、中学生時代の叶海を演じた白鳥との共演を振り返り「友情や明るさって素晴らしいと、友達って良いなと思いながら演じていました」とニッコリ。その白鳥は「叶海は梓を照らす明かりのような存在なので、現場では笑顔やお礼を普段よりも意識してやっていました」と回想した。
“つながり”がテーマの一つである本作において、近藤は黒木と名前の漢字・華が同じであり、白鳥は黒木と5年前のドラマで共演済という“つながり”がある。黒木は「お二人が素晴らし過ぎる!梓と叶海の2人が親友になったきっかけ、親友という絆を瑞々しく演じてくださって、2人が一緒にいる説得力があった。素晴らしい女優さんだと思いました」と絶賛していた。
本作のタイトルは「同じ境遇にある者どうしが思いやり、助け合うこと」という意味を持つ、「相身互い=アイミタガイ」という言葉に由来している。そんな温かみあるタイトルで「あいうえお」作文に全員で挑戦。
「ア」担当は白鳥。「あなたに届けたい」
「イ」担当は藤間。「いつまでも」
「ミ」担当は黒木。「みんなで」
「タ」担当は中村。「助け合い」
「ガ」担当は近藤。「がんばった」
「イ」担当は草野監督。「いい映画」
発表までそれぞれがどんな言葉を書いているのか知らなかった面々は、息ピッタリのチームワークに大興奮。黒木は抜群のチームワークに「ここにすべてが表れていますね!」と喜色満面だった。
そして原作者の中條氏が黒木に花束贈呈。中條氏からの「主役が黒木華さんだと聞いたときは、本物の梓が出てくださったととても感激しました」などと言葉を受け取った黒木は「中條先生が書いてくださらなかったら始まらなかったですし、そこから脚本になり、それが草野監督に行って、私たち役者が集まって1本の映画になっていくという。本当にありがたい空間にいると思った。『アイミタガイ』という言葉は梓を演じることで知れた言葉でもあるので、演じることが出来てありがたいと思いました」と深く感謝していた。
最後に草野監督は「この映画は小説を基に、市井昌秀監督が脚本の骨組みを作り、故・佐々部清監督を経て私の元に脚本が来て監督することになった経緯があります。そこに不思議な巡り合わせを感じます。この映画を見てくださった方に人間関係の不思議な繋がり、そういったものを感じるきっかけになってくれたら嬉しいです」と期待。黒木は「アイミタガイという言葉は本当に素敵な言葉で、知らないところで人は繋がっていて、人は一人ではないという事を感じられる作品になりました。皆さんに寄り添う映画になっていると思うので、ぜひ楽しんで見て欲しいです」とアピールしていた。
2024年11月1日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー